結婚式の持込み料の賢いかわし方

結婚式・披露宴の費用が高くなる理由の一つに「持込み料」があります。持込み料とは、式場の指定業者や提携業者以外のところから衣装や引出物などを持ち込む場合に式場側から課せられる費用のことです。新郎新婦の希望に沿った結婚式・披露宴を適切な費用で行うためには、この理不尽な「持込み料」を避けてうまく立ち回る必要があります。その対処方法を学んで賢く節約するようにしましょう。
目 次
1.そもそも「持込み料」ってなに?
2.さまざまなアイテムで出て来る「持込み料」
3.持込み料には「選択範囲を狭くして高価なものを選択させる」という意図もある
4.持込み料を回避する方法
5.アイテム別の対策
6.すぐに決めないでじっくり検討しよう
7.まとめ
そもそも「持込み料」ってなに?
「持込み料」とは、式場の指定業者や提携業者以外のところから衣装や引出物などを持ち込む場合に課せられる一種のペナルティです。一般には「保管料」などと呼ばれることもあり、挙式日の1~2日前から式場に保管する際の費用と言うのが建前ですが、実際は「衣装や引出物は持ち込まないで、式場から購入・レンタルしてください」というペナルティ処置になります。以下に「衣装」の持込みを図式化しましたのでご覧下さい。

上記の図を見ると、式場指定業者から衣装をレンタルする場合は代金の中に「式場への手数料」が含まれています。実際の手数料は、「衣装」の場合でレンタル価格の30%~40%が一般的です。指定業者は手数料を差し引いた残りの60%~70%の中から利益を出すようになっています。
一方式場指定業者を使わなかった場合は図の右側になります。金額は新郎新婦と外部の衣装業者の間で決められるのですが、この衣装を式場に持ち込む時に式場から「持込み料」を求められるのです。名目は衣装の保管料ですが、上図で解るように明らかに「式場の手数料」の代わりということなのです。
様々なアイテムで出て来る「持込み料」
持込み料が課せられるのは主に「衣装」「写真」「装花」「司会」「印刷物」「引出物」が多いのですが、どれも式場の指定業者または提携業者が入っているアイテムです。「料理・飲物」や「室料」などは式場が直接担当するので、持込み料はありません。(料理・飲物の持ち込みは殆どの場合で断られます)
確かに衣装などを持ち込んだ場合は、保管場所や汚損の心配対策が必要です。しかし、その金額が1着あたり3万円~10万円もするなんて考えられないでしょう。もしも上記の「衣装」~「引出物」のアイテム全てに持込み料が課せられるとしたら金額は20万円~30万円にもなってしまいます。新郎新婦にとって、あるいは招待客にとってメリットは無いのですから、正に「持込み料」は百害あって一利無しですね。新郎新婦が式場を選ぶときはこの「持込み料」を必ず意識していただきたいと思います。
持込み料には「選択範囲を狭くして高価なものを選択させる」という意図もある
「持込み料」の悪弊は無駄な出費だけではありません。例えば「衣装」を例に考えてみるとよく分かります。
一般的に式場の衣装指定店は1社で、式場内または近郊に店舗を構えています。店舗には様々な衣装が揃えてありますが、どんなに数多く在庫を置いていてもせいぜい40着~100着程度(同じデザインでサイズ違いを含む)でしょう。中には在庫は30~50着という簡素な店もあります。
レンタル衣装店では、同じデザインのサイズ違いを揃えておく必要が有りますので、在庫の中でも新郎新婦が選択できるデザインは在庫数の3分の1、あるいは5分の1と言うことになります。つまり、新郎新婦に許された選択肢はこの在庫衣装のデザイン数ということになります。意外と選択肢が少ないことに驚かれるでしょう。
さらに予算と見比べて選ぼうとするとさらに選択肢が限られてしまいます。希望の衣装が見つかったとしても、高額で手が出なかったり、既に先約が入っていてレンタルできない、などの問題も発生します。つまり、「持込み料」には、新郎新婦に他の選択肢を与えず、限られた選択肢の中から高価なものを選択させるという意図も含まれているのです。

持込み料を回避する方法
それではこの「持込み料」を回避して選択肢を広げるにはどうすればよいでしょうか。
対策1.まずは「持込み料」を取られない式場を探すこと
以下の表をご覧下さい。これは「衣装の持込み料」が必要だったかどうか、を調べた結果を表にしたものです。

全国平均で約3割( 29.5%)が「持込み料はそもそも必要でなかった」と回答しています。この場合は最初から指定業者だけでなく、外部業者の選択肢もあったということです。また 10.7%の人が「必要だったが会場がサービスしてくれた」と回答しています。この場合は式場との交渉次第で「持込み料」が不要になった、ということです。
なお「必要だったが外部の衣装店が負担してくれた」というのは余り期待してはいけません。なぜなら「持込み料」を肩代わりしてくれると言うことは、その分が衣装代金に上乗せされているということで、やはり高い買い物をしたと言うことになるからです。
ここでのキーワードは「持込み料を回避して選択肢を広げる」ということです。そのために必要なことはまず「持込み料が不要な式場を探す」ことです。しかし、どうしたら「持込み料がいらない式場」を見つけることが出来るでしょうか。個人的に式場に電話して「持込み料はいりますか?」と一軒ずつ問い合わせても、式場は原則として持込み料が必要ですので「持込み料は必要です」としか応えてくれないでしょう。交渉次第で無料にしてくれる式場も有りますが、単に問い合わせただけでは式場は本音を明かしてはくれないのです。
そこで筆者は「ブライダルカウンター」を活用して「持込み料がいらない式場」を探すことをお薦めします。幾つかのブライダルカウンターでは新郎新婦の要望に沿って「持込み料不要の式場」を紹介してくれたり、場合によっては持込み料を不要にする交渉を行ってくれるところがあります。是非ブライダルカウンターを活用することをお薦めいたします。
関連記事:結婚式場の選び方|ブライダルカウンターを活用しましょう

対策2.式場を決定する前に、必要な婚礼アイテムの情報を出来るだけたくさん集めておくこと
昨今はインターネット上に婚礼情報もたくさん掲載されていて、根気よく調べればかなりの情報を得ることが出来るようになりました。しかしながらネット上の情報は実際に手に取って確かめることが出来ないため、華やかなイメージや心をくすぐるキャッチコピーに惑わされてしまいます。あくまでもネット上の情報だと言うことで見るようにして下さい。
ネット上に出て来る情報の他には「ブライダルカウンターの情報」があります。ブライダルカウンターには専門家であり経験豊富なカウンセラーがいますので、厳選されて必要な情報を確実に手に入れることが出来ます。自分である程度のネット情報を収集したら、ブライダルカウンターを訪れて、婚礼専門家の情報を得るようにして下さい。
アイテム別の持込み料対策
それではこの章では婚礼アイテムの「持込み料のかわし方」について簡単に解説していきます。もっと詳しく知りたい方は「関連記事」をご参照下さい。
引出物
婚礼アイテムの中で「引出物」は最近ではほとんど持込み料が取れなくなりました。それは外部の「カタログギフト」を使って、結婚式のゲストに希望する引出物を選んでもらい、それを後で配送するというやり方が出て来たため、式場や提携業者を通さずにギフトを渡すことが容易に出来るようになったからです。このやり方なら「引出物」を式場に持ち込む必要が無いため「持込み料」を取られる心配はありません。
しかしカタログギフトのやり方が必ずしも絶対お得とはいえません。なぜならカタログギフトは殆ど価格交渉の余地が無いからです。一方で式場の提携業者の場合は対面交渉が可能なので価格交渉をすることが出来ます。特に外商部門(セールス部門)の人と交渉すると10%~20%程度の値引きは可能な事が多いので、それを利用しない手はないと思います。なお、その際はゲストが大きな引出物袋を持ち帰らなくてもいいように、引出物を式場で渡さず宅配にすることをお奨めします。また、会費制の結婚式では引出物は省略するケースが多いのでこちらも検討したほうが良いでしょう。
写真・ビデオ
次に「写真」も外部のスタジオで前撮りをする人が増えてきました。それは、以前は前撮りをすると衣裳を2回レンタルしないといけなかったのですが、スタジオも婚礼衣裳を自社で持って衣装店を通さないようになり、衣裳レンタルの無駄が無くなったためです。またスナップ写真なども外部カメラマンをゲストにして披露宴に招いたり、あるいはスマホの普及で誰でも高画質の写真が撮れるようになったため、「写真の持込み料」も次第に無くなってきました。(まだ一部では厳しい規制があるところが有りますので、写真とビデオについては以下の関連記事ををご参照下さい。)
関連記事:結婚準備物語|結婚式・披露宴の写真は永遠に
婚礼衣裳
婚礼衣裳店の数は引出物や写真スタジオのように店舗数が多くないこともあり、いまだに「持込み料」が幅を利かせているアイテムとなっています。詳しくは以下の関連記事をご参照下さい。
関連記事:結婚準備物語|婚礼衣装の組み合せと手配方法
なお、衣裳の持込み料は「保管料」とも呼ばれているので、ホテルで結婚式・披露宴を行う場合は宿泊用客室を予約してそこで着替えるという方法があります。自分がお金を払って借りた部屋に保管していてそこで着た衣裳だから持込みではない、という理屈ですが100%確実に持ち込み料を回避出来るかどうかは分かりません。自宅で婚礼衣裳を着てから会場に行くというのと同じ理屈ですが、ホテルによっては理解を示してくれるところが有るかもしれませんので、一度はプランナーに話してみるべきでしょう。
装花
装花は新鮮さが求められる素材なので、なかなか持ち込みは難しいと思われます。しかし、式場指定業者に相談して、予め決めた予算内で素敵な装花を作ることも可能です。
またちょっと考え方を変えてみると、生花に代わる装飾品もありますのでこちらを利用することも賢い選択でしょう。詳しくは以下の関連記事を参照して下さい。
関連記事:結婚準備物語|結婚式・披露宴の装花はなぜ高い
印刷物
招待状や席次表などの印刷物は簡単に制作できるので、持込みが発生しやすいアイテムです。「招待状や席札は自分の手作りのものをゲストに渡したい」といって式場と交渉すれば「持込み料なし」になる可能性は高いと思います。それがなくても、外部の印刷物は相当に安くなっているので、仮に持込み料を支払ったとしても提携業者に頼む費用の半額以下になると思います。
関連記事:結婚準備物語|結婚式・披露宴の印刷物の種類と節約法
司会
司会者の料金は、司会者で作る組織もあって標準的な金額があるようです。そのため、放送局のアナウンサーやどうしても指名したい司会者でない場合は式場提携の司会者でよいと思います。全国的な料金は2時間で45,000円~70,000円が一般的となっていますので、もしも式場指定の司会者がこの金額より極端に高額な場合は式場側に交渉する必要があります。なお外部司会者を希望する場合は以下の参考サイトをご参照ください。また他にも各地に司会者の派遣が出来る会社があります。
(参照)全国司会者検索 グレースMC
すぐに決めないで、じっくり検討しよう
以上、持込み料を回避する方法を簡単に解説してきましたが、是非覚えておいてほしいのは「結婚式や披露宴の費用を節約するためには、なんでも直ぐに決めてしまわないという堅い意志が必要」ということです。素敵な衣裳や綺麗な花など、気持ちを高ぶらせてしまうのが婚礼業界の営業のやり方ですから、その場ですぐに決めてしまうと後で後悔することになります。いろいろな代替品や代替サービスを沢山見て、十分な検討期間をおいて決定してください。各種の結婚情報を総合的に提供するブライダルカウンターを利用することがお薦めです。
まとめ
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「持込み料」は婚礼費用が高くなる原因のひとつです。
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持込み料は式場指定業者や提携業者のためにあり、これらの業者から手数料を受け取る式場のためにあります。お客様の為になることは何もありません。
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「持込み料」を取られない式場を探すことが大事です。また式場を決定する前に、必要な婚礼アイテムの情報を出来るだけたくさん集めましょう。
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結婚式・披露宴の情報を収集するなら、まずブライダルカウンターを利用することをお薦めします。ブライダルカウンターで「持込み料を取られない式場」を探すのが最優先です。
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カタログギフトを利用すると引出物の「持込み料」はかかりません。ただし、値引き交渉するなら式場指定業者が有利。
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写真は衣装レンタルが出来る外部スタジオがおすすめ。スナップ写真などは持ち込みカメラマンやスマホの普及で簡単かつ高画質になりました。
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衣装は「持込み料」を払っても安い衣装にするか、そもそも持ち込み料の無い式場を選ぶほうがよい。
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装花については生花に代わる装飾を利用することが賢い選択。
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印刷は外部の印刷業者がおすすめ。式場指定業者の半額以下のアイテムもあります。