結婚式の初期見積りと最終費用の違い

結婚式・披露宴の費用見積書はあくまで参考程度に考えている人も多いでしょう。
しかし、初期見積りと最終費用では100万円以上も差が出てくることも少なくありません。なぜこんなに大きな違いが出てくるのでしょうか?後であわてないためにも婚礼見積書の見方と注意点を学んで、結婚式の費用を賢く節約しましょう。
目 次
- 「見積書」は「式場選び」の最も重要な指標です
- 最終費用が初期見積りより上った理由
- 最終費用は初期見積りより全国平均で100万円以上も上っています
- 「初期見積りと最終費用の違い」が出てくる理由
- 「初期見積り」と「最終見積り」の実例研究
- 実例その1:「婚礼プラン」は内容不明で問題が多い
- 実例その2:「本日限りの特別値引き」は問題が多い
- 実例その3:「料理」は費用アップが最も多い項目です
- 実例その4:司会者は重要です。でも費用は適正料金でお願いします
- 実例その5:「写真」と「ビデオ」はいつ迄も残る大切な思い出
- まとめ
「見積書」は「式場選び」の最も重要な指標です
結婚式場をどこにするかというテーマは重要です。結婚式に満足して終わるか、はたまた不満ばかりで終わるかは結婚式場選びに掛かっているといっても過言ではありません。
そんな重要なテーマである式場選びの基準になるもののひとつに「見積書」があります。
「見積書」とは、その式場で結婚式を挙げた場合に必要となる金額を項目別に記載したもので、式場を比較検討する際の最も重要な指標になります。
最終費用が初期見積りより上った理由は?
しかしこの「見積書」と実際に結婚式を行った後の最終費用では大きな違いが出ています。まずは以下の統計表「最終費用が初期見積りより上った理由」をご覧下さい。

ご覧の様に結婚式に必要な主な項目でかなりの割合で金額が上っています。特に料理や衣装などは60%以上(100組の内60組以上)の方が金額アップとなっています。つまり初期見積りで納得して式場予約をしたのに、最終的には予算オーバーという方もかなりの数でいらっしゃったと思われます。
最終費用が初期見積りより全国平均で100万円以上も上っています
それでは一体どれ位の金額がアップしたのでしょうか?
以下に「見積りより上った金額」の統計表を掲載してみます。

上の表では「見積りより上った金額」の全国平均は102万円となっています。さらに200万円以上上ったという人が全体の14 .7%にもなっています。ここまで費用が増えると何のための見積もりか、と言いたくなりますよね。
地域的な特色としては北海道の増加金額が62万円と群を抜いて少なくなっています。やはり会費制結婚式が多いということで、予算内に収めようという意識が強いのかもしれません。
「初期見積りと最終費用の違い」が出てくる理由
それでは一体なぜこんなに「初期見積りと最終費用の違い」が出てくるのでしょうか
主な理由は以下のように考えられます。
<式場側の理由>
- 最初に他の式場より高い見積りを出すと、他の式場に取られてしまうかもしれません。だから料理も最低のランクにして、その他の項目も最低限にして初期見積りの金額が下がるようにしているのです。
- 契約をしてしまえば、後はランクアップや追加項目で全体金額を引き上げるのがプランナーの大事な役目になっています。まずは契約に結びつけることがプランナーに求められる最も重要なことなのです。一旦契約をしてしまえば万一新郎新婦が驚くほどに費用が膨らんでも、持込み料やキャンセル料などの縛りで事後解約が難しくなるようになっています。
- 費用を抑えながら素敵な結婚式・披露宴を上げることは可能で、式場のプランナーは長年の経験から節約のノウハウを沢山知っています。しかしそのノウハウをお客様に教えると自社の売上が上らないので、絶対に教えてくれることはありません。
<新郎新婦側の理由>
- 新郎新婦には自分達の結婚にまだハッキリとしたイメージが出来ていないため、必要な項目やそのグレードがわかりません。そのため当たり障りの無い項目と最低限度のランクで初期見積りを作成してしまいます。もしもこの状態で契約をしてしまうと、後はプランナーの言われるままに少しずつ項目追加やランクアップなどの方法で金額が上っていきます。気が付いた時には遥かに予算をオーバーしていたということになるのです。
- 当然のことながら、新郎新婦には婚礼に関する知識(料理、衣装、装花、写真・ビデオなどの知識)がありません。プランナーが提示する料理や衣装などの限られた範囲からしか選択する余地は無いのです。しかもこれらの選択肢には仕掛けがしてあって、低い金額の料理ほど見栄えが悪く作ってあったり、低い金額の衣装ほど野暮ったい衣装が揃えられています。少しでも素敵な結婚式を望む人であればランクアップや予算アップをするしかないようになっているのです。
「初期見積り」と「最終見積り」の実例研究
参考のために実際にあった「初期見積り」と挙式直前の「最終見積り」の実例を見てみましょう。
こちらは「婚礼プラン」を使った「初期見積り」で、全国的に行われている金額アップのやり方です。見やすいように項目を左右にそろえて、追加された項目や料金がアップした項目には色をつけています。

まず見積書の一番下の合計金額を見て下さい。
初期見積りでは2 ,365 ,000円、最終見積りは4 ,085 ,400円となっています。
招待客の人数は60名で変更はありませんが、合計金額は1 ,720 ,400円の増加になっています。
出席人数が変わらないのになぜ172万円も費用アップになったのでしょうか?
さらに見ていきましょう。
問題点その1:「婚礼プラン」は内容不明で問題が多い
初期見積りによると「基本プラン」は30名の人数で80万円(消費税別)となっていますが、その中には以下の内容が含まれていることが分かります。
基本プラン 80万円の内訳(30名分/1人当り26,666円)
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固定的な費用:披露宴会場費・新郎新婦控室料・待合室・披露宴会場メイン装花・集合写真(親族写真)・音響照明費
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変動的な費用:料理・飲物・ゲストテーブル装花・招待状・席札
※変動的な費用とは出席人数の増減により変動する費用のことです。
※ご覧のように基本プランでは各項目ごとの金額はわかりません。
プラン追加 人数増加(30名から60名に増加)によるプラン費用の増加
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固定的な費用:費用は増加していません
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変動的な費用:18,000円×30名=540,000円
上記の内容から以下のことが分かります。
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変動的な費用(料理・飲物・ゲストテーブル装花・招待状・席札)の一人当たり合計金額が18,000円である。
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30名分のプラン追加(変動的な費用)が54万円ですので、最初の基本プランの内80万円-54万円=26万円 は固定的な費用であることがわかります。26万円の内訳は各種の会場費・室料とメイン装花・集合写真・音響照明費ということになります。
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筆者の分析では26万円の固定的な費用の具体的な内訳は概ね以下のようになります。
会場費・室料 110000円
メイン装花 50000円(全国的な標準料金です)
集合写真 50000円(全国的な標準料金です)
音響照明費 50000円(全国的な標準料金です)
上記の費用では「婚礼プラン」だからといって割安になっている項目はありません。「会場費・室料」は一定金額の飲食を伴う宴会(婚礼)では室料無料にするところが殆どなので、新郎新婦側からすると無用の費用と言うことができます。また「音響照明費」は会場に既に設置されている音響設備や照明設備であれば、室料と同様に無料サービスが一般的です。なお「メイン装花」や「集合写真」もこの金額は標準的な金額で特別安いというわけではありません。
以上のことからこの初期見積書にある「婚礼(基本)プラン」は特別に料金を安くしたということはありません。世に言う「正月プラン」や「オープン記念特別プラン」などで想像する料金の割安な内容は全く無いのです。
問題点その2:「本日限りの特別値引き」は問題が多い
初期見積りでは「新郎新婦2点衣装プラン」として50万円を計上し、特別値引きとして25万円を差し引いています。「本日ご成約に限り衣装代金50%割引き」という訳です。新郎新婦合わせて衣装代が25万円で済むなら割安と言えるでしょう。さらに「美容着付け」の費用も「本日のご成約に限り30%割引き」となり、45,000円の値引きがあります。
このままですと「随分サービスしてくれたんだ」と思うかもしれませんが、実際は違います。
プランナーや衣装担当との打合せが進むに連れて「ドレスランクアップ」となり、12万円が追加されています。さらにお色直し用に「カラードレス」18万円が追加されています。それに合わせて「色直し美容着付け」費用、3万円が追加されています。
最終的に新郎新婦の衣装代は以下のようになりました。
新郎衣装+新婦衣装 500,000円(新郎10万円?新婦40万円?)
ドレスランクアップ 120,000円
カラードレス 180,000円
合計 800,000円
特別値引き ▲250,000円
差し引き合計 550,000円(新婦衣装2着+新郎衣装1着)
特別値引きが無ければ合計費用は80万円となりますが、高いと思われませんか?
そもそも新婦の衣装が40万円なのに12万円を追加してランクアップするとは、元々がどんな衣装だったのか、疑問です。
「本日ご成約に限り50%OFF」とか「本日ご成約に限り〇〇円値引き」などと言う歌い文句は割安感を出して客を契約に結びつけるための常套手段ですが、上記で解説したように婚礼業界に限っていうと「疑ってかかった方がよい」ということになります。
問題点その3:「料理」は費用アップが最も多い項目です
料理費用が最終的に幾らになったのかを考えてみる必要があります。「基本プラン」の中では料理は変動的な費用になります。変動的な費用には料理と飲物、ゲストテーブル装花、招待状と席札が含まれて金額は18,000円でした。
それではこの18,000円を各項目別に分解してみましょう。
ゲストテーブル装花 1,500円(1テーブル当り9,000円/6人掛けの場合)
招待状 500円(一般的な招待状は350円~600円)
席札 200円(名前筆耕料を含めて一般的な料金)
飲物 4,000円(フリードリンクの全国平均費用)
料理 11,800円
合計 18,000円
上記の様に「基本プラン」の中の料理単価は11,800円と推察できます。ところが、最終見積りになると「料理ランクアップ」で一人当たり8,000円も料金アップになっています。つまり最終的な料理単価は11,800円+8,000円=19,800円となりました。8,000円もアップさせないといけないとは、初期見積りの時の料理は一体どんな料理だったのでしょうか?
問題点その4:司会者は重要です。でも費用は適正料金でお願いします
司会者は披露宴の進行をつかさどる大切な仕事です。そのため殆どの披露宴ではプロの司会者を手配します。新郎新婦との打ち合わせでは、新郎新婦の要望に合わせて司会者から様々な演出の提案や会場盛り上げの提案をしてくれることもあります。殆どの司会者はそれなりに十分な経験を積み重ねているので、貴重なアドバイザーと言えるでしょう。
司会者は新郎新婦と1~2回の事前打ち合わせを行い、本番の披露宴では約2時間~3時間の間、会場に付きっ切りになります。司会者費用の相場はその地域やキャリアによって違ったり、契約する式場によって違いがあります。なお、インターネット上で調べた結果では殆どの司会者派遣企業で50,000円~(2.5時間/打ち合わせあり)となっており、一部の有名司会者や放送局アナウンサーなどの著名な司会者の場合で8万円~10万円位の相場になっています。
このように一般的な式場の司会者料金は5万円前後なのですが、この見積りでは10万円となっており、非常に高価な料金設定となっています。このような事例は「席次表」でも見られます。
問題点その5:「写真」と「ビデオ」はいつ迄も残る大切な思い出・・・でも
それぞれ25万円と18万円の料金になっています。筆者は相対的に高いと感じるのですが、スナップ撮影に付いているアルバムがどんな物か、またビデオは編集まで含んでいるのか、最終的にどういう形で新郎新婦に渡されるのか、などの詳細が不明ですので確実なことは申し上げられませんが、普通の社会人の感覚では撮影時間やその後の作業内容からして高すぎるのではと考えます。
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以上、結婚式の見積り(実例見本)を基に見積書の見方やその中に隠された式場の思惑などをお話してきました。172万円の費用アップを納得された方も、納得できない方もいらっしゃると思いますが、この記事を参考にして「見積りは十分に注意深く検討」していただきたいと思います。
初期見積りだけで式場を決定するようなことが無いようにくれぐれもご注意ください!
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まとめ
- 「見積書」は式場を比較検討する際の最も重要な指標です。軽く考えてはいけません。
- 初期見積りと最終費用では全国平均で102万円も費用アップしています。
- 式場プランナーは他の式場と対抗するため初期見積りを安く設定します。一旦契約してしまえば、追加項目やランクアップなどでどんどん売上アップ(新郎新婦からすると費用アップ)を計ってきます。
- 予想外の費用アップの原因は新郎新婦側にもあります。新郎新婦は事前学習をして、十分な知識を持って望むことが大切です。式場のプランナーは節約のノウハウなどは知っていても教えてはくれません。